80s British royal navy

限られた人のみ所属が許された " ロイヤル " の名を冠する王室直属部隊。その海軍にあたるロイヤルネイビーとして着用されていた本品は、これまでにご紹介させて頂いた中でも “ ロイヤルだからこその魅力 ” が特出した一着です。英国の歴史を辿りましても、特に過去最強と称されていたのが、言わずもがな「海軍」。海上という水に囲まれた領域においては最も出逢いたくないとされていた英国軍船。そのデッキの上で着用する事を前提とし、一滴の水滴すら下に着用している衣服に付くことを許さない、という目的の元つくられたのが本品であるオーバースモック。ブリティッシュミリタリーの中でもまさにマスターピースと謂える1着。

まず御素材ですが、コットン史上、最も高密度かつ丈夫であるとされているベンタイルコットンを贅沢に使用。耐水性というベクトルでは素晴らしい内容が叶いまして、海上は船のデッキ、というステージからもその選定はお分かり頂けると思います。今でこそ高級ファブリックのひとつとして周知されておりますが、その御素材を王室直属海軍の元、配給品でありながらもここまで思切り使用しているという点のみでも、イギリスという国がどれほど力を注いでいたかをご理解頂けると存じますが、ロイヤルネイビーの品々すべてがベンタイルコットンか、というわけでは御座いませんで、そういった意味でもやはりマスターピースと認識されている1点であると。

肘充てには同素材を贅沢にも2枚張り、水の侵入を防ぐための他、寒さを凌ぐ役割も成立させるため、内側には別素材のコットン地を張り、風の侵入も防ぎます。メインファブリックの特性からも、防寒性という内容が素晴らしいものでして、素直にも暖かく、むしろ日本の気候ですと着込んだ際は暑くなるほど。袖口にはゴムが仕込まれており、縛って頂く事で袖先からの風をシャットアウト。腕周りと身幅に余白を残した大胆なラグラン仕様とパターンメイキングは、歴代のメゾンデザイナーも教科書にしたほど、素晴らしいつくり。対して、ウエストにはドローコードが設置されており、絞ることで2面性なる表情を獲得頂けます。ここはお好きなようにお愉しみ下さい。収納スペースは前身頃最下部の両フラップポケット。折りを深くすることで水の侵入を防ぎ、水が溜まったとて、排水口のベクトルで穴が設けられております。中央には小振りなポケットが用意されており、ここにはトランシーバーを入れ、コードはスナップボタン式のフラップに通す内容。現代ですとミュージックプレイヤーとイヤフォンが宜しいでしょう。ネックはボタンの設置数が二段階のうえ、ドローコードによりボリュームをコントロールでき、またはその開け閉めによって温度調整頂けます。フード内には上からヘッドフォンを装着できるよう耳があたる部分の生地が抜かれていたりと、工夫がみられ、キャップにも上げ下げができるようスナップボタンを設置。細部にまで工夫とディテールが盛り込まれたまさにマスターピースなるベンタイルスモック。作り込みが半端ではございません。

元々生産数は極端に少ない本品の貴重性は勿論ですが、それ以前に1着の衣類としまして純粋にもハイクオリティと圧倒的なポテンシャルこそ、是非ともお認め頂きたい内容でございます。デッドストックというわけではございませんが、近しいスペシャルコンディション。プレートタグには170/96と記載がございますが、元々オーバーフィッティングを前提につくられ、たっぷりとお召し頂けるため、170cm〜185cmまでの方がお愉しみ頂ける内容と思います。ヘヴィデューティーながら、どこかエレガントなムードは、ファッションの見地からみましても素晴らしいもの。芳醇かつ都会的なディープネイヴィのベンタイルコットンが叶える実効性。素直にも冬のメインアウターとしましてお勧めをさせて頂きます。御眼鏡に叶いましたら是非。