60s British royal army

SURR ディレクターの一個人的主観につき誠に恐れ入りますが、様々なミリタリーの名作的ヴィンテージピースに触れてきた中でも、本品から受けた衝撃の記憶は今でも鮮明に残っており、初見以来プライベートコレクションに収めたいと強く願いつつも、結局はどこでも出逢う事が叶わず現在に至ります。

英国王室直属の陸軍である “ ロイヤルアーミー ” において、過酷な環境下でも快適な活動を目的として生まれた通称 “ コンバットスモック ”。一目でミリタリーと分かるタフな素材に秘められた屈強と言う名のエレガンスに、人体力学に則った立体のパターンメイク、各所の繊細な切り替えしのそれに秘められたテーラーの職人美学。
ディティールデザインの秀逸さといったらなく、斜めに配置された胸部ポケット、立ち襟を加味したラペルの美しいステッチワーク、着用時に正面から見えない位置(ショルダーラインをすっきりと演出するテーラーの美学)に配置されたエポレット、簡易な直線ではなく一層手間暇のかかる曲線の各所パーツ仕上げなど、機能面の美しさとスタイルの美しさをさも当たり前のように両立させる美意識の高さには、素直に感服致します。
また、過去着用者(おそらく、実際に所属していた初代の人物)によって縫い付けられた両袖の紋章ワッペンも、大変に喜ばしいオンリーワン要素の一つです。

着飾る為のファッションではない、機能性を最優先に構築されたにも関わらず、結果的に高いファッション性を確立したミリタリーのヴィンテージピース。それら数多の中でも、より明確に的確に、何より高い純度と感度で仕上げられている一着に感じているのですが、それはきっとお袖を通して頂ければ共感して頂けるのではないかと切に思います。
広い可動域ゆえの適度なボリューム感がありながらも美しくフィットするシルエットのモード。様々な環境に適合する着こなしのバリエーション。着る事そのものがスタイルになる一着をいずれお召しになられる方への嫉妬心を胸に忍ばせつつ、心よりご推奨申し上げます。